
厚生労働省の「人口動態調査」によると、高齢者の「不慮の溺死及び溺水」による死亡者数は高い水準で推移しており、近年では「交通事故」による死亡者数よりも多くなっています。

発生場所と時期については、家屋内の浴槽における事故が多く、11月~4月の冬季を中心に多く発生しています。
事故を防ぐためには、高齢者本人だけでなく、家族の方など周りの方も一緒になって入浴習慣を見直すことが大切です。
本記事では「ヒートショックの予防対策」より、専門サイト様を参考にさせていただき、むつかしいメカニズムの解説を省いて、要点のみを簡潔にまとめました。
冬場の浴槽で起こりやすいヒートショック

浴槽での事故で12月から2月の冬場に起こりやすいのが、ヒートショックです。ヒートショックとは急激な温度の変化によって血圧が大きく変動し、心臓や血管の疾患が起こることで、失神、不整脈、心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、重症の場合は死に至ることもあります。
持病がない健康な方にもヒートショックは起こります。
気温が低くなる冬場の脱衣場や浴室は特に室温が低くなりがちです。衣服を脱いで急に浴槽にはった熱いお湯につかると、急激な温度差によって大きく血圧が変動し、ヒートショックが起こりやすい条件となります。

ヒートショックを防ぐためには、浴室の温度を上げること、熱いお湯につかるのをさけること、長湯を避けることが重要です。
また、一緒に暮らすご家族が入浴中に声掛けをして、万が一異常があった際には早く気づけるようにすることも大切です。
ヒートショックの対策と予防
- 脱衣場と浴室を入浴前に温める
- 入浴の前にあらかじめ脱衣場や浴室を温める、浴室に入る前にシャワーのお湯を出しておいて蒸気で浴室を温めるなどして温度の変化を少なくしましょう。
- 湯温は41度以下、浴槽につかる時間は10分以内に
- 熱いお湯につかること、長時間お湯につかることで体温が上昇しやすくなります。たとえ半身浴であっても長時間お湯につかっていればのぼせることもあります。のぼせて意識がもうろうとして浴槽から出られず、さらに体温が上昇して熱中症になることもあるため、湯温は41度以下を目安に、お湯につかる時間は10分以内を目安としましょう。
- 浴槽からはゆっくり立ち上がる
- お湯につかっている間は身体に水圧がかかっているので、急に浴槽から立ち上がることで急激な血圧変動を起こすことがあります。勢いよく立ち上がって転倒する危険性もあるので、手すりや浴槽の縁などをもってゆっくりと立ち上がるようにしましょう。
- 一人で入るときは家の人に声をかけてもらう
- 日頃から、一人で入浴する際には家の人にひと声かけてから入り、いつもより入浴時間が長ければ、声かけや浴室の見回りをお願いしておきましょう。
- 飲酒後、食後の入浴は避ける
- 飲酒後の入浴は事故死につながるリスクがあります。食後は食後低血圧での失神のリスクがあるので、飲酒後、食後の入浴は避けるようにしましょう。体調がすぐれないときや、睡眠薬などを飲んだ後の入浴も思わぬ事故が起こる可能性がありますので避けましょう。
【出典:(公財)長寿科学振興財団 健康長寿ネット】
まとめ
冬場になると暖房器具を使って部屋を暖めることが多くなりますが、その温度差が原因で高齢者にヒートショックが起こる可能性が高まります。ヒートショックとは、急激な温度変化によって血圧や心拍数が乱れ、心筋梗塞や脳卒中などの重篤な症状を引き起こすことです。
ヒートショックは命に関わる危険な状態なので予防が大切です。では、どのように予防すればいいのでしょうか?
まず、部屋の温度を一定に保つことが重要です。暖房器具を使う場合は、温度設定を20度前後にし、湿度も40~60%程度に保ちましょう。また、部屋の換気も忘れずに行いましょう。
窓やドアを開けて空気を入れ替えるだけでなく、扇風機やサーキュレーターなどを使って空気の流れを作ることも効果的です。部屋の温度差を小さくすることで、体への負担を軽減できます。
次に、身体の温度調節を助ける服装や食事にも注意しましょう。服装は、重ね着をして調節できるようにすることがおすすめです。特に首や足首などの末端部分は冷えやすいので、マフラーや靴下などでしっかり保温しましょう。
食事は、暖かいものを摂ることはもちろんですが、栄養バランスも大切です。特にビタミンやミネラルなどの微量栄養素は、血管の働きを良くする効果があります。野菜や果物などを多く摂るように心がけましょう。
最後に、適度な運動もヒートショックの予防に役立ちます。運動は、血液の循環を良くし、体温調節能力を高める効果があります。しかし、無理な運動は逆効果になることもあるので注意が必要です。自分の体力に合わせて、散歩やストレッチなど軽い運動から始めましょう。また、運動前後は水分補給も忘れずに行いましょう。
以上、高齢者のヒートショックの予防対策についてまとめました。冬場は特にヒートショックに注意する必要がありますが、日頃から身体と部屋の温度管理をしっかり行うことで予防できます。高齢者だけでなく、家族や介護者も一緒に気を付けましょう。
| 2023.12.25 02:56 | |
| 2025.01.04 18:13 | |
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