命にも関わる災害時のトイレ問題~防災トイレと非常用トイレ~

日本は世界有数の地震大国といわれています。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震、そして今年元日に起きた能登半島地震。地震による被害の痛ましさは、私たちの記憶に鮮明に刻まれ、忘れ去られることはありません。

日本で暮らす私たちにとって、こうした震災は他人事ではありません。報道や自治体の啓発活動を受けて市民の防災意識は高まり、減災対策や防災用品の準備も浸透してきたといわれます。

食料品や飲料水の備蓄、もしものための電源確保など家族と話し合い、実行している家庭も多いことでしょう。

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食料品や飲料水の備蓄

しかし残念なことに、人間にとって大切なことが忘れられがちになっています。それがトイレの問題です。

排泄は生きるために必要不可欠な生理現象。我慢すると著しく健康を害することになります。地震や水害の際も、避難所のトイレに並ぶことを避けるために水を飲むのを控えた結果、脱水症やエコノミー症候群を起こしたというニュースを聞きました。

ここで災害時のトイレ対策について、あらためて考えておきましょう。

目次

災害時のトイレ対策

簡易トイレ

大きな災害が起きた際に心配されるのが、断水や停電です。自宅の水洗トイレを普段通りに使うことは諦めなければなりません。では、どうするか?

防災用トイレ

万が一の対策として、地域に「防災用トイレ」があるかどうかを普段から確認しておきましょう。下水道のマンホールに簡易トイレを設置できる「マンホールトイレ」や、公園などのベンチで仮設トイレとして利用できるものも。

下水道のマンホールに簡易トイレを設置できる「マンホールトイレ」

下水道のマンホールに簡易トイレを設置できる「マンホールトイレ」

ただ災害トイレは共有の施設であり、個数も限られていますから、まずは停電や断水が復旧するまでの期間、自宅のトイレを使うことを考えましょう。

非常用トイレ

そこで準備しておきたいのが便座に設置できるタイプの非常用トイレ。凝固剤と排泄用の袋、処理用の袋がセットになったものが市販されています。手袋がついているものが便利。消臭・除菌効果があれば、なおいいでしょう。

非常用トイレ

非常用トイレの備蓄が底をついた場合に備え、大きなポリ袋2枚+吸水性のあるオムツやペットシーツなどを準備しておけば万全です。

非常用トイレの使い方

まず便座をあげて便器にポリ袋を被せ、次に便座を下げてさらにポリ袋を被せます。袋の中にオムツやペットシーツを入れて使います。捨てるときは袋をしっかり結んでまとめ、自治体のルールに従って廃棄します。こうした設置の仕方、使い方、捨て方を家族で共有しておきましょう。

非常用トイレ

停電や断水が復旧した後も、マンションなど集合住宅の場合は排水管の破損に注意を払う必要があります。排水管が破損したままだと、トイレの汚水が下の階のトイレから溢れ出すケースも少なくありません。共用部の貼り紙など告知を見逃さないようにしましょう。

参考記事
考えよう災害時のトイレ(マンガ)

大雨や台風などが頻発するシーズンです。地震だけでなく水害などあらゆる災害に備え、家族でトイレの防災準備をしておきましょう。

2024.07.16 22:40
2025.01.04 17:25
雑記雑学・トリビア

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